第12回国選弁護シンポジウム「みんなで担う国選弁護−全ての被疑者に弁護人を−」

http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2012/121214.html

一昨日になりますが、岡山市で行われた、上記のシンポジウムに、日帰りで行ってきました。シンポジウム中に、ツイッターでつらつらとツイートもしていましたので、昨日の本ブログに、その結果がアップロードされています。
国選弁護は、以前の、公判段階に限定されていた時代から、捜査段階の被疑者国選弁護制度が導入され、その対象事件の範囲も拡大されて現在に至っています。シンポジウムでは、その対象を全身柄事件に拡大することや、逮捕中から国選弁護人が付されるべきこと、また、少年事件での、全面的国選付添人制度を導入する必要性も指摘されていました。
聴いていて感じたのは、そうした拡大の方向性は正しいものの、特に、逮捕中から国選弁護人を付する、といったことになれば、弁護士も、夜も昼も、土日休日も年末年始もなく、常にフル稼働する体制を構築しなければならず、弁護士の多い都会はともかく、そうではない地域ではかなりきついだろう、ということでした。韓国では、インターネットを使った接見や取調べ、といったことも積極的に行われていますが、

韓国・ソウルの警察署
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20051103

日本でも、ITや電子機器をフルに活用して、被疑者が、事務所にいる弁護士とインターネットを介して画像、音声でコミュニケーションを取ったり、弁護士も、警察、検察庁、裁判所と、そういった方法で適宜接触して、被疑者の立場にたった主張を積極的に行えるような環境作りを進めるべきと感じました。
シンポジウムでは、イギリス、ドイツや韓国の捜査段階における身柄拘束制度が紹介されていて、各国が、苦心しつつも適正な身柄の取り扱いを進めている様子がわかり、参考になりました。日本も、戦後すぐにできた刑事訴訟法を、こちこちな頭で墨守するのではなく、進化した科学技術は積極的、大胆に取り入れ(通常であれば保釈になじみにくいケースで、電子的な監視を付すことを条件に保釈を認める、といったこともその一環でしょう)、より近代的で人権に配慮し、かつ、捜査の必要性や実態とも調和する、より進化した身柄拘束制度へと改革を進め、国選弁護制度も、制度自体を見直しつつ、適正な身柄拘束等に資する存在して発展させるべきでしょう。様々な情報に接し、様々な問題意識を持つことができた、有益なシンポジウムでした。