ハワイ:真珠湾で2000人が黙とう 攻撃から71年

http://mainichi.jp/select/news/20121208k0000e030142000c.html

ヘイニー米太平洋艦隊司令官は、生存者たちから直接聞いた体験談をもとに攻撃当時の様子を紹介。「今も世界経済は不安定で、各地で紛争が起きている。『真珠湾を忘れるな』『常に警戒せよ』という生存者たちの教えは、米国にとって極めて重要だ」と訴えた。

私自身、真珠湾攻撃については以前から興味を持っていて、取り上げた本も複数読みました。日本側、米国側それぞれにとって、いろいろな「もし(if)」があり、普遍性のある教訓も導き出すことができるように思います。
日本側としては、戦術的には成功であったものの戦略的には失敗だったということでしょう。日米間の国力の差はあまりにも大きく、枢軸国側の勝利は幻想でしかなく、日本は、日米交渉やハルノートへの対応を通じ、大きく譲歩してでも戦争は回避する必要がありました。しかし、国論をそういった方向へ向けることができず、真珠湾奇襲で当初は大戦果を挙げたものの、従来の艦隊決戦という在り方が空母に搭載した航空戦力による機動作戦により雌雄を決するという方向へ大転換する切っ掛けにもなってしまい、ミッドウェー海戦を境にしたその後の劣勢、敗戦へとつながってしまいました。
米国側としては、上記の太平洋艦隊司令官のコメントにあるように、奇襲を受け多くの犠牲者を出し、立て直すのに一定の時間がかかってしまった、ということでしょう。ただ、米国としては、真珠湾攻撃が、それまで介入しないとしていた戦争への全面的な突入につながり、その後の連合国の勝利へもつながったのは事実で、結果的に得たものも大きかったと言えると思います。
そして、普遍的なものを引き出すとすれば、国家間の紛争が勃発した場合に、いかに自らの国力をわきまえ国論の統一を図りつつ国益を最大限に保つ方向へ進むか、そのための政治の役割、機能、また、奇襲(最近では9・11テロも奇襲で、真珠湾攻撃が引き合いに出されていたのも記憶に新しいところです)をできるだけ防止し奇襲による甚大なダメージを避けるためにはどうすべきか、期せずして奇襲を受けた場合の対処をどうすべきか、といったことでしょうか。
映画「ミッドウェー」で、日本海連合艦隊を撃破した米国太平洋艦隊のニミッツ提督(ヘンリー・フォンダが演じていました)が、ヤマモトはすべてを持っていた、なぜ我々が勝利できたのかわからない、と述懐するシーンがあります。なかなか先のことはわからない、わからないからこそ必死に予測し全力を挙げなければならない、勝利の女神はそのような者に対して微笑む、ということも、我々は常に念頭に置いておく必要があるでしょう。