iPhoneソフトウェア担当上級副社長が辞任、マップ問題による事実上の更迭か

http://gigazine.net/news/20121030-scott-forstall-leaving-apple-next-year/

ウォールストリートジャーナルが関係者の話として報じた内容によると、フォーストール氏はジョブズ氏と親しいことを自慢して非協力的だったため他の幹部とは対立関係にあり、ジョブズ氏の仲裁抜きでは関係がうまくいかなかったようです。近しい人には、ジョブズ氏の亡くなったあと“決定者”がいなくなったと漏らしており、iOSチームはモバイルソフトウェアの大きな計画の中で十分に働けていないとチームメンバーにメールを送っていました。
フォーストール氏と他の幹部たちとの対立関係が極限状態を迎えたのがiPhone 5のリリースでした。フォーストール氏らのチームはiPhoneからGoogleマップを外すために何年も作業を続けていましたが、結果はティム・クックCEOが謝罪するに至るほどひどいもので、このとき、フォーストール氏は「iPhone 4のアンテナに不具合があった件は謝罪せずに乗り切ったのだから、今回も謝罪の必要はない」と主張してクックCEOらと対立。このとき、謝罪メッセージにフォーストール氏が署名せず、代わりにクックCEOが署名したことが決定打となったようです。
一時はジョブズ氏の有力後継者だと言われていたフォーストール氏は、社内でも昇進が早く名声を得ていましたが、一緒に働くには向いていないタイプだとも言われており、関係者によると「Appleの社内文化になじまない人」だったとのこと。

なかなか興味深い記事ですね。
もう遅いですが、この記事を読んで、フォーストール氏には、ジャパンで古くから言われている、「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」という言葉を贈りたいと思いました。チャイナ(で申し訳ないですが)で言われている、「天の時は地の利に如かず 地の利は人の和に如かず」という言葉も併せて贈りたいですね。
有能な人間は、とかく有能さを鼻にかけ傲岸不遜になりがちですが、そこにこそ、失敗へとつながる種がまかれ芽が生えている、ということを自覚しなければならないでしょう。人の和というものは、それが存在することで大きな力になるものである、ということを、特に、若くて、これから組織の中枢に身を置いたり、リーダーとして大成しようとしている人には、強く自覚、意識してほしいと思います。
傲岸不遜、天上天下唯我独尊が許されるのは、スティーブ・ジョブズ(日本では織田信長とか)のような、100年に1人いるかいないかという天才だけ、ということでしょう。自分にとって、一見、無関係そうな、支えてくれたりはしなさそうな人が、人の和が維持されていることで、危機的状況の中、彗星のように現れる救世主のような存在になる、ということが、世の中では本当に起きるものです。
アップルのような、飛ぶ鳥を落とすような勢いのある会社でも、人の和が欠けることで、失敗、崩壊へとつながりかねない、ということが、恐ろしいところです。マップの問題は、その序曲だった、と、もしかしたら後世において評価されるのかもしれません。