日本弁護士連合会・第55回人権擁護大会シンポジウム「強いられた死のない社会をめざしてー「自殺」をなくすために私たちができること」(第2分科会)

佐賀市で開催された上記シンポジウムに参加してきました。他にも分科会はありましたが、最近、自殺は大きく問題になっていて、刑事事件との絡みもあり、取材を受けたりすることもあって、特に関心があったため、聴きに行きました。
シンポジウムでは、「夜回り先生」として有名な水谷修氏の様々な実体験やそれに伴う意見、フィンランドや韓国での自殺防止の取り組み、日本国内で自殺防止などに取り組んでいる人々の報告、内閣府参事官からの政府としての自殺防止への取り組みが、次々と紹介され、現在、高止まりしたままの日本における自殺者数を減らすための様々な努力が展開されていることがよくわかり、参考になるものでした。
聴きながら感じたのは、仕事にしても学校にしても、うまく行かなければドロップアウトすればよい、ドロップアウトしてまたやり直せばよい、仕事がなくなっても次の仕事が見つかるまで贅沢しなければ暮らせるセーフティネットがあるから安心だ、という、余裕をもって暮らせる社会を目指さなければならないのではないか、ということでした。弱音をはかず頑張れ、頑張ることが大切だ、といった、猛烈、スポーツ根性もの的な発想が、いかに多くの人を追い込み苦しめているか、ということを考えなければならないと思います。生活保護の問題にしても、不正受給が許されなのは当然としても、生活保護をもらうのは恥ずかしい、もらわず頑張る人は偉い、といった発想では、本当に必要とする人、弱い人をますます追い込むことになりかねません。自殺防止のためには、日本社会の在り方や制度というものを、冷静に見直さなければならないということを改めて感じました。