ETV特集「死刑執行 法務大臣の苦悩」

http://www.nhk.or.jp/etv21c/update/2011/0227.html

番組はかつて明かされたことのない「法務大臣と死刑執行の決断」に焦点を絞る。千葉大臣による死刑執行の決断に至るまでの経緯を詳細に検証しながら、長い死刑執行の歴史の中で、命令書へのサインを前に繰り広げられた歴代法務大臣らのさまざまな苦悩と決断を、本人らの証言を交えて浮き彫りにする。

昨年2月に放映された当時は観ることができずにいたのですが、最近になって観ることができました。
自分の執行命令によって死刑が執行される、その重大性、深刻さで法務大臣が思い悩む気持ちはよく理解できますが、現行法が死刑を存置し現実に死刑執行ということが問題になる以上、法務大臣に任ぜられるに当たり、その任に自分が堪え得ないのであれば命を受けるべきではないし、死刑制度自体についての議論は様々にあっても、法の定めを、自らの独自の考えや信念に基づいて執行しない、というのも、法治国家における法務大臣の在り方として、いかがなものか、ということを率直に感じました。
刑罰中、死刑だけが、法務大臣の執行命令に係らしめられているのは、生命を奪うという究極の刑罰を執行するに当たり、万が一の冤罪の可能性や死刑を執行すべきでない特殊事情等について、法務大臣というスペシャルな人物の判断を、一種の安全弁にしているのではないかと思います。そういった観点で、死刑執行の可否を慎重に検討すべきであるのは言うまでもありませんが、それと、ぐずぐずと泣き言を言うのは別問題ではないか、ということも、観ていて感じました。
とは言え、元法務大臣らが、死刑執行命令を出すにあたっての苦悩、葛藤をここまで語るのを観たのは初めてで、死刑制度というものを考える上で重い意味を持つ番組であると感じました。