20日、21日と、ラジオ、テレビに出演して

20日夜はTBSラジオのDigに、21日朝はフジテレビの特ダネに出演して、光市母子殺害事件についてコメントしましたが、コメントするのもなかなか難しい事件だった、というのが率直な印象ですね。
私自身、検察庁に在籍していた当時は、死刑制度について、積極的ではないものの消極的に賛成、といった立場で、罪があまりにも重い場合には死をもって償うしかないのではないか、社会、共同体というものが究極の刑罰として死刑というものを持って社会を防衛する機能を否定し去ることはできないのではないか、という考えを持っていましたが、現在は、そういった考えが果たして正しいのかどうか、よくわからなくなっていて、この問題については堂々巡りで思案中という状態です。
ただ、世界の趨勢が死刑廃止へと向いていることを考慮すべきと感じる一方で、日本国民の多くが死刑制度を支持しているという現状は軽視できないと思いますし、無残で重大な結果をいくら引き起こしてもその身は安泰、ということで果たしてよいのだろうか、という素朴な疑問も感じます。この辺が、堂々巡りで思案してもなかなか考えがまとまらないところです。
昨年は死刑が執行されず、今後の法務大臣がどのような考えで執行問題に臨むのかよくわかりませんが、一定期間(たとえば3年程度)、死刑執行を中止した上、死刑制度の存廃や代替すべき刑罰制度について、徹底的に議論して、今後の方向性を決める、ということも、やってよいのではないか、今こそやっておく必要があるのではないか、ということは強く感じています。ただ単に、賛成、反対で意見をぶつけ合うだけではなく、建設的な議論ということを目指す必要があるでしょう。