「虚偽供述に導く取り調べ」地裁、検察を批判

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120217-00000688-yom-soci

決定理由の朗読内容が一気に厳しさを増したのは、石川被告を担当した田代政弘検事(45)の取り調べ手法に対する評価に入った時だ。小沢元代表の起訴を示唆しながら供述を求めたことについて、「強力な利益誘導で、虚偽供述に導く可能性の高い取り調べ方法だ」と非難した。
田代検事が証人出廷した際に、「より真実に近い供述を維持するために行った」と釈明したことにも、「真相解明の熱意からだとしても、検察官の職責を考えれば違法性、不当性が減じるものではない」と、厳しい言葉を連ねた。

従来の裁判所は、検察官の取調べ、特に特捜部の取調べは、「聖域」視して、取調べの在り方が問題になっても調書は採用する、という傾向が強かったものですが、かなり変わったな、「丸特」の事件でも、普通に判断してくれるようになりつつあるな、というのが率直な感想ですね。
刑事訴訟法の立法者は、検察官が、単なる当事者ではなく、かつての予審判事に代替するような、真相を解明する取調べを行う存在として想定し、作成された調書に強い証拠能力を認めたものと推測されますが、上記のような取調べが横行している以上、その前提は完全に崩れていると言っても過言ではないでしょう。検察官作成の調書の証拠能力を、警察官作成のそれと同等にして、将来の公判に備えて供述を証拠化しておく必要があれば、裁判所における証人尋問で手当てする、という法制度に、とりあえず、いち早く移行しておく必要を感じます。そうなれば、調書をとればこっちのもの的な、ひどい、酷い検察官による取調べは、やっても意味が乏しいので激減するでしょう。
法務省が、検察庁のためにあるのではなく、国民のためにあるのであれば、一刻も早く、刑事訴訟法をそのように改正する方向で動くべきでしょう、と言っても絶対に動かないと思いますが。