千葉県警、防犯カメラ映像軽視か 15年前の誤認逮捕

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012011901001079.html

千葉県流山市で1997年に会社員田島由美さん=当時(24)=が刺殺され、家族3人が誤認逮捕された事件で、銀行の防犯カメラに写った田島さんの預金を引き出す男について、県警が当時3人ではない可能性が高いとしながら「第三者の関与も考えられる」と判断して逮捕に踏み切ったことが19日、捜査関係者への取材で分かった。
捜査関係者によると、逮捕された3人のうち、男性は被害者の義兄だけだったが、映像の男より身長がかなり低かった。

誤ったストーリーが、あたかも確固たるもののように独り歩きしはじめると、こういった「消極証拠」が、誤ったストーリーの中に、あたかも矛盾がないものであるかのように組み込まれてしまうのが恐ろしいですね。
家族3名(それも祖母まで加わって)でこの女性を殺害した、ということであれば、目的は、金目当てとは考えにくく、犯行直後に銀行で金を引き出したというのは不自然、不合理ですし、しかも、それを第三者に依頼しているということになると、なおさら不自然、不合理で、逮捕の前に、思い描いた事件の構図に対して重大な疑問を投げかけるものとして検討する必要があったでしょう。また、犯行現場では、犯人によるものと推定される、DNA鑑定の試料になるものが採取されていたようであり、そうであれば、逮捕前に、嫌疑がかかっている家族3名から鑑定試料を採取して、鑑定結果を慎重に検討する必要もあったと思います。被疑者らが犯人であることに疑問を投げかけている消極証拠に対する検討が不十分なまま、安易に、一部の者の「自白のようなもの」に依存して暴走してしまった、この捜査の問題は、こういった捜査が、いつ、どこでも起き得るもので、誰もが冤罪被害に遭いかねないことを指し示していると思います。
祖母の「自白のようなもの」が安易に信用されてしまったようですが、やはり、取調べを全面可視化して、自白に至る経緯を検証できるようにしておくことが不可欠であることも、この事件の重要な教訓の1つでしょう。