http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120109-00000042-jij-soci
事故は運転士(死亡)がブレーキをかけず、制限時速を大幅に超えカーブに進入して起きた。主な争点は、カーブ半径を半分にする工事をした1996年から約1年半、鉄道本部長だった被告に▽危険性の認識と事故の予見可能性があったか▽脱線防止のため自動列車停止装置(ATS)を設置する義務があったか―の2点。
先日、この件について取材を受け、その際、検察官の主張や弁護人の反論に、一通り目を通したのですが、事故が起きたカーブの危険性やATSを設置することで事故が避けえたことは明らかでありつつも、当時の鉄道会社における安全対策の実態、水準にも照らし、そのカーブに、ピンポイントでATSを設置するだけの、刑法上の具体的な予見義務、結果回避義務を課すことには、いささか無理があったのではないか、という感想を率直に持ちました。判決結果については、無罪、と予想しています。
ただ、鉄道会社のような公共交通機関を運営する組織体には、特に高度な注意義務が課されるのではないか、本件では、検察官が強く主張しているように、函館線における同種の脱線、転覆事故が先行して起きそれが社内で認識されていた事実がある以上、当時の被告人のような安全を確保すべき立場にあった者には、予見義務、結果回避義務が生じていたのではないかという考え方にも、あながち捨てがたいものがあり、裁判所がその考え方に思い切って乗ってくる、という可能性も、高くはないと思いますが排除できないとも思っています。
先日の取材では、裁判体が10あったら、1か1.5くらいは有罪という判断に傾くかもしれない、と答えたのですが、判決が注目されます。