痴漢疑われたら「とにかく走って逃げろ」 ネットの「定説」は正しいのか

http://www.j-cast.com/2011/09/30108722.html

ネットに複数ある「痴漢えん罪対策マニュアル」といったものをまとめると、女性に「この人痴漢です」と言われて駅員室に行くと、その場で駅員に現行犯逮捕されてしまう。私人による現行犯逮捕はすみやかに司法機関に身柄を引き渡すと法律で決められているので、そのまま警察に連れて行かれる。一度警察に拘束されると「自分がやった」と自白するまで何日も拘留される。仮に、自白せずに裁判になったとしても、えん罪を証明するのは不可能に近いというのだ。

しかし、弁護士の落合洋司氏は「逃げると、捕まったときに、やってないならなんで逃げるんだということで、やったと強く推測させてしまう。やってないなら逃げるべきではない」と指摘。
さらに、こうアドバイスする。
「身分を明らかにしても、ケースバイケースで罪証隠滅の恐れがあるなどと判断されれば現行犯逮捕されることがあります。とにかく、早く弁護士に連絡することです。弁護士会に連絡すれば弁護士を紹介してくれますし、警察に逮捕されれば当番弁護士制度を使うこともできます。目撃者を確保することも重要です」
また、ネット上では「逮捕されたら終わり」というのが当たり前になっているがそれも違うという。
「逮捕されても、警察で48時間以内に釈放されたり、検察に事件が行ったとしても、嫌疑不十分で24時間以内に釈放される可能性があります。2000年代前半に痴漢えん罪が問題になってから、ここ数年は捜査もきめ細かくなっていて、女性の服の繊維が男性の手に付いていないかといった客観的な捜査もするようになってます。証拠が出ずに、やったやらないの水掛け論になると、不起訴になるというケースも多くなっています。逃げるというのは自己責任ですが、かなりリスキー。お勧めはしません」

刑事訴訟法で、準現行犯といって、現行犯そのものではないものの、現行犯に準じて取り扱われるカテゴリーがありますが、その要件の中で(それだけで準現行犯になるわけではありませんが)

誰何(すいか)されて逃走しようとするとき。

というものがあり、やっていなければ逃げるはずがない、逃げようとする者は犯罪を犯したという嫌疑を受けるのが合理的であると、立法者が考えているということがよくわかりますね。逃げる、ということが、それだけリスクの高いことであることが、この点からもよくわかります。
弁護士会関係のメーリングリストなどで見ていると、身に覚えがない痴漢の疑いがかかり捜査の対象になったが逮捕中、勾留中に処分保留で釈放された、身柄拘束されなかった、その後、不起訴になった、という報告がいくつも上がってきています。ネット上の「定説」に安易に従って身を誤らず、早期に弁護士に相談して、やっていないのであればやっていないことを捜査機関に認識させる、効果的な活動を行うことが、やはり必要ではないかと思います。