福島第1原発:内閣官房参与、抗議の辞任

http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110430k0000m010073000c.html

小佐古氏は、学校の放射線基準を年間1ミリシーベルトとするよう主張したのに採用されなかったことを明かし、「年間20ミリシーベルト近い被ばくをする人は原子力発電所放射線業務従事者でも極めて少ない。この数値を乳児、幼児、小学生に求めることは学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたい」と主張した。

政府は国際放射線防護委員会(ICRP)が原子力事故の収束段階で適用すべきだとして勧告した年間許容量1〜20ミリシーベルトの上限を根拠に採用。1日8時間を屋外で過ごすとして子どもの行動を仮定した上で、放射線量が年20ミリシーベルトを超えないよう、毎時3.8マイクロシーベルト以上の学校などで屋外活動を1日1時間に制限する通知を文部科学省が19日に出した。
文科省は「余裕を持って決めた基準で、実際に年間20ミリシーベルトを被ばくすることはない」と説明するが「子どもを大人と同様に扱うべきでない」として他の放射線の専門家からも異論が出ているほか、日本弁護士連合会も反対声明を出している。

国際機関が年間許容量として定める上限を、乳児にまで適用してしまうのは暴挙としか言いようがないですね。文科省は、「余裕を持って決めた基準」などとうそぶいているようですが、放射線基準のように、人体への深刻な影響が出る性質のものは、余裕を持たせるのであれば、厳格な方向で持たせるべきもので、余裕の持たせ方が、そもそも間違っているでしょう。
このような暴挙に至ったのは、原発事故について収束の見込みが具体的に立たず、放射線基準を低めに設定しておけば、早晩、それを超えてしまうのが目に見えているため、そうなった場合の、政府や役人の責任逃れのため、としか考えられません。子供を守るという視点は完全に欠如しているとしか言いようがないでしょう。
未曾有の深刻な原発事故がいつまでも収束に向かわない中、我々は、政府によっても守られていないという悲しい現実が、徐々に、まざまざと見えてきているのではないかと思います。