チリ津波の記憶、避難遅れを招いた?

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866918/news/20110325-OYT1T00635.htm?from=nwla

同地区の民生委員、木下正弘さん(65)は、地震直後から地区内を回り、「津波が来る。すぐ逃げろ」と呼びかけ続けた。津波襲来までは約30分ほどの時間があったが、その間、避難せず、道ばたで海の方を見たり、話し込んだりするお年寄りの姿を何人も見たという。
同地区では1960年のチリ地震でも津波があったが、今回はその到達点をはるかに超える津波が町を襲った。木下さんは「昔の記憶が油断を招いた可能性がある」と言う。木下さんの呼びかけを受けて避難した女性(79)は、「チリ地震の時はそれほど大したことなかったので、今回もあまり心配しなかった。同年配で逃げ遅れた人は多いと思う」と話した。

これは、今後の災害対策を検討する上で、貴重な教訓を含むものかもしれません。人間の習性として、自分の経験に照らして、最悪はここまでと決めてしまい、それを超えることは起きないと、根拠もなく思い込んでしまうという面はあるように思います。しかし、それは単に思い込みに過ぎず、経験で規定されてしまったものをはるかに超えることは、起きる時には起きてしまうということでしょう。
やはり、経験に学ぶだけでなく、視野を広く持ち、歴史に学ばなければならない、ということを強く感じます。最近でも、例えばインドネシア地震では30メートル級の巨大津波が町を、人を飲み込み甚大な被害を生じさせており、もっと、そういった実例に学ぶべきであったと思います。この教訓は、今後へと大きく生かされなければならないでしょう。