- 作者: 田中宏巳
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2010/05/01
- メディア: 単行本
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連合艦隊司令長官としてあまりにも有名な山本五十六の評伝で、昨年から、ぽつりぽつりと読んでいたのですが、最近、読み終えました。
読み終えて、戦後にかなり広まり今でも根強い「陸軍悪玉・海軍善玉論」の中で山本五十六を悲劇のヒーロー視する風潮に、史実に基づき冷静に見直しを迫るものであることと、艦隊決戦思想の呪縛から逃れられなかった海軍、ということが特に印象に残りました。
現在、NHKでドラマとして放映中の坂の上の雲でも、今後、取り上げられるように、日本海海戦で海軍はパーフェクトに近い勝利をおさめます。しかし、その成功体験から、米国との間においても艦隊決戦により最終的には勝利を目指すという考え方を長く引きずってしまい、山本五十六自身も、先見性を持ちつつ実際は不徹底な作戦指揮に終始してしまったという点への指摘、批判は、今にも通じるものがあるように感じられました。