組幹部射殺事件、裁判員裁判から除外請求 福岡地検支部

http://www.asahi.com/national/update/1208/SEB201012070050.html

事件の背景には暴力団内の抗争があると見られ、地検支部内には構成員が裁判員に圧力をかける恐れや、裁判員が恐怖を感じる可能性があるという意見があった。地検支部は昨年10月の起訴以来、裁判員裁判からの除外を検討し続け、福岡高検など上級庁とも協議のうえ、最終的に請求に踏み切ったとみられる。

この問題については、以前、

裁判員裁判>組抗争公判の除外請求を検討 さいたま地検
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090717#1247791827

で、

単に危険だから、というだけでは駄目で、
1 被告人の言動、被告人がその構成員である団体の主張若しくは当該団体の他の構成員の言動又は現に裁判員候補者若しくは裁判員に対する加害若しくはその告知が行われたことその他の事情により
2 裁判員候補者、裁判員若しくは裁判員であった者若しくはその親族若しくはこれに準ずる者の生命、身体若しくは財産に危害が加えられるおそれ又はこれらの者の生活の平穏が著しく侵害されるおそれがあり
3 そのため裁判員候補者又は裁判員が畏怖し、裁判員候補者の出頭を確保することが困難な状況にあり又は裁判員の職務の遂行ができずこれに代わる裁判員の選任も困難であると認めるとき
という、かなり厳格な要件になっていますから(特に上記の1)

とコメントしたことがあります。上記の記事の小倉支部の事件で、そこまでの要件を満たすのか、裁判所による慎重な検討が今後行われることになるでしょう。単なる「恐れ」「可能性」では駄目、ということですね。

追記(平成22年12月12日):

暴力団抗争:裁判員裁判から除外 福岡地裁小倉支部
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101211k0000e040006000c.html

最高裁によると、裁判員裁判対象事件の除外決定は全国初。これまでにさいたま、高知両地裁の暴力団抗争事件で除外が請求されたが、認められなかった。
大泉裁判長は決定理由で、被告が所属する工藤会について「相手が一般市民でも殺人などの凶悪犯罪を組織ぐるみで行う。裁判員らに加害行為が及ぶ恐れもあり、裁判員の確保が困難な状況だ」と指摘した。

判例誌掲載には馴染まないかもしれませんが、どういった事情を踏まえた上での判断なのか、読んでみたい気はします。