http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20101020#1287543674
でも、自分自身の経験についてコメントしましたが、メモを廃棄せずに残しておく意味、目的としては、後日、取調べ状況が問題になった際には、記載されていることを手掛かりに、自らの記憶を喚起する、ということもありました。捜査に従事していると、様々な取調べを行っていて、ある日、ある時の、特定の被疑者、参考人の取調べを、後日、思い出せと言われても、何の手がかりもなければ思い出せなくなってくるものです。取調べ時のメモが残っていれば、当時の供述状況や印象的な出来事(自分なりに何らかの記載をすることが多いでしょう)などを、メモを見ながら思い出すことが可能で、より正確に再現することが可能になります。
一度、作成した供述調書の任意性、信用性の関係で証人として出廷したことがありますが、その際は、取調べの際に作成していたメモと、取調べ日毎に作成していた報告書を改めて精査して取調べ状況を思い出し、かなり具体的、詳細に証言することができた記憶が残っています。作成した供述調書は、証人尋問終了直後に、その日の公判で、すべて証拠として採用されました。取調べメモがなければ、おそらく、証言の精度は下がったと思います。
なお、私の場合は、メモを手書きで作成していましたが、パソコン等でデジタルデータとして残すことも、今の時代ですから、当然、あり得るでしょう。
その場でちょっと話を聞いて、2、3枚程度の調書を作成する、という程度であれば、メモなしでも可能ですが、重要なことを、具体的、詳細に、深く突っ込んで聞いた上で調書を作成するのに、メモもとらずに、というのは困難であり、そういった意識を見せることなくメモなど必要ない、ということを言っている捜査関係者がいれば、嘘をついているか、取調べメモの意義、役割をことさら矮小化して印象付けようとしている、と見るべきでしょう。