前特捜部長らの逮捕容疑要旨

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010100101001167.html

大坪、佐賀両容疑者は、特捜部検事前田恒彦容疑者が証拠のフロッピーディスク内に記録された文書データを改変したという証拠隠滅罪を犯したと知りながら、共謀の上、2月上旬ごろ、刑事処罰を免れさせる目的で、前田容疑者に対し、以後は改変を過失によるものと説明するよう電話で指示し、さらに同月10日ごろには、指示に基づいて前田容疑者が持参した上申書を読んだ際、合理的な説明となるよう内容を修正すべき旨を重ねて指示して、修正させるなどして、改変が故意ではなく過失によるものとして事実をすり替えることで検挙を見合わせ、前田容疑者を隠避させた疑い。

逮捕前に、不作為で隠避になるのか、といった消極論も唱えられていましたが、この種の犯罪行為で、まったくの不作為、何ら作為がない、ということは考えにくく、私自身は、立件するのであれば、作為による隠避行為を認定してくるだろうと予想していました。案の定、そういう流れになってきているようです。
被疑事実の要旨を見る限り、元部長、副部長が否認している状況の下では、主要な証拠は前田検事の供述(上記のように指示されて説明を変え上申書を修正するなどした)で、周囲の関係者(前田検事の同僚検事など)の供述が、状況証拠としてそれを支えているという証拠構造になっているのではないかと推測されます。最高検としては、ここまで慎重に捜査を進め、仮に、元部長、元副部長が最終的に否認のままでも、現在までに収集した証拠で公判は十分維持できると見切って、前田検事の勾留延長が決定された時点で、一気に決断したということでしょう。
この犯人隠避事件は、前田検事による証拠隠滅事件で前田検事が「犯人」であることを強く裏付け支える関係にもあり、最高検としては、それだけに解明の必要性を強く認めたということではないかと私は考えています。
前田検事の逮捕前に、3人が口裏合わせをしていた可能性もあり、そういった状況も、既に前田検事により供述されて、逮捕という決断を後押しした可能性もあるでしょう。
近代日本における検察史上、最大の危機が到来したと言っても過言ではないと思います。