“涙ながらの訴え”問題にせず

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20100926/t10014207421000.html

検察関係者によりますと、ことし1月から2月にかけて、厚生労働省の村木元局長の裁判でフロッピーディスクのデータが問題になったあと、前田検事が、同僚の検事にデータを書き換えたことを打ち明けたということです。同僚検事は、この話を村木さんの裁判を担当していた別の検事に伝え、この検事は特捜部の佐賀元明前副部長に「前田検事が書き換えをした。村木さんは無罪だ。たいへんなことだから公表すべきだ」と涙ながらに訴えたということです。

日曜日夜7時のNHKニュースを見ていたところ、上記のように報じられていて、私は、胸の奥にぐさっと何かが突き刺さるような感覚に襲われました。間違ったストーリーが独り歩きし、それを無理矢理維持しようとすると、組織内の「良心」が間違いを指摘しても、独善的に握りつぶしてしまう、ということがよくわかります。
既に今年の初めの時点で、検察ストーリーが崩壊していることが大阪地検内で自覚され、公判担当検事が、改ざんの重大性を、「村木さんは無罪だ。」とまで言って涙ながらに訴えていたのに、なぜ、この問題にきちんと向き合わず、お茶を濁す程度で終わらせてしまったのか。最高検が、特に当時の特捜部長と副部長から、執拗に事情聴取を行っていることの重大性、その先にある重大局面(犯人隠避罪等による立件、逮捕を含め)の可能性ということについて、近日中に何らかの結論が出ることは確実でしょう。
犯人隠避罪等の刑事事件にまでは発展しないとしても、このような重大な問題が発生しながら、組織内で「問題ない」と報告して闇に葬ってしまう、この、ずれきった感覚、見当違いということこそ、現在の検察庁が抱える致命的な問題を現すもの、という印象を強く受けます。