<さいたま地裁>殺人被告を公判前に保釈 異例の許可

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100721-00000048-mai-soci

今年2月に難病を抱える長男(当時56歳)の首をタオルで絞めて殺害したとされる。
5月以降、さいたま地裁(伝田喜久裁判長)で行われた公判前整理手続きで被告側が起訴内容を認める方針を示したため、裁判の争点は量刑に絞られた。地裁は6月末、弁護側の申請を受けて保釈許可を決定。検察側が不服を申し立てたが、棄却され、被告は7月1日に保釈された。

殺人、放火といった法定刑が重い犯罪で起訴された被告人については、刑事訴訟法上、権利としての保釈は認められず、裁判所(裁判官)の裁量による保釈が認められるかどうかが問題になりますが、従来の実務では、問題となっている犯罪の重大性からそもそも裁量による保釈の余地もない、と考えられてきた面があるでしょう。ただ、殺人と言っても、上記の記事にあるようなケースでは、情状によっては執行猶予が付くこともあり得て、「裁量」ということを、より実質的に、柔軟に行使することによって保釈も可能な案件と考える余地があり、おそらく、検察官の準抗告が通らなかったのも(これが抗告で、さいたま地裁ではなく東京高裁が審理していればどうなったかわかりませんが)、そういった事情が考慮されてのことではないかと推察されます。
保釈に関する実務も、徐々に変わりつつあるということで、変わってきたものがどの辺で定着するのか、今後も慎重に見て行く必要があるでしょう。