ひき逃げ:不起訴一転、公判請求 大津地検が異例の再捜査

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100713k0000m040140000c.html

起訴状などによると、草津市の総三保二(そうざ・やすじ)さん(当時69歳)と妻重美さん(64)は09年11月6日夕、路側帯に進入した軽乗用車に後ろからはねられ、保二さんは死亡、重美さんも重傷を負った。運転手の女は約1.5キロ離れた勤務先までそのまま運転。知人に促されて現場に戻ったのは約1時間後で、意識を失っていた夫妻が病院に搬送されたのはそれからだった。
この事故について、女は自動車運転過失致死傷罪のみで起訴された。一方、ひき逃げでの立件を求める遺族の陳情は続き、地検は4月以降、現場で走行実験を行うなど再捜査を開始。「血の気が引いた」という事故直後の女の供述や、フロントガラスのひびなどを精査した結果、不起訴とした判断を翻し、人をはねた認識を立証できると判断したとみられる。

証拠そのものを見ていないので断定的なことは言えませんが、事故の態様、事故後の被疑者の行動、特に、フロントガラスにひびまで入っている点を見ると、道路交通法違反(救護義務違反)について嫌疑不十分で不起訴という当初の判断には、かなり疑問があったと言わざるを得ないのではないかと思います。起訴された自動車運転過失致死傷のほうは、執行猶予がつき検察庁控訴したようですが、道路交通法違反が当初から起訴されていれば実刑になった可能性が高いでしょう。検察庁の弱気な判断は裁判所にも伝染するものです。
この事件の当初の捜査を誰がやったかはわかりませんが、交通事故捜査は、副検事が担当している場合が多く、副検事だから駄目だとは言う気はありませんが、事実認定、証拠評価の教育、経験が十分ではない人も少なくないのが現状ですから、特に問題がある事件については、検事が担当する、決裁官が十分注意して検討するなど、慎重な対応が必要でしょう。