共犯者が住居に侵入した後、強盗に着手する前に現場から離脱した場合において共謀関係の解消が否定された事例

最高裁第三小法廷平成21年6月30日決定ですが、判例時報2072号152頁以下に掲載されていました。
判例時報のコメントでも紹介されているように、こういった「離脱」が認められるかどうかについては、実行の着手前であれば、因果性を解消すること(離脱の表明、他の共犯者の了承等)で離脱が認められやすい一方、着手後については、因果性の解消についてかなり厳格に見られ単なる離脱の表明、他の共犯者の了承程度では離脱と評価されない傾向にあります。
本件の特徴は、形式的には強盗に着手する前の離脱であるものの、住居侵入という、共謀した一連の犯罪の一部が既に着手されているという点にあり、事案の具体的内容に即し実質的に「着手後の離脱」として見ている点が、今後の同種・類似事例の処理にあたり参考になりそうです。
司法試験受験生にとっても、今後、択一、論文問題のネタになりそうで、要注意でしょう。