講談社、iPadで京極夏彦氏の新刊発売

http://www.asahi.com/culture/update/0520/TKY201005200310.html

講談社の狙いの一つは、価格決定の主導権を日本の出版社が握ること。今後予想される米アマゾンの電子書籍端末「キンドル」日本語版の発売でも、出版社側が主導権を取りたい考えだ。さらに、自社で出版した作品の電子書籍化の許諾権を得るため、著作者への働きかけを強めることにしている。紙の本で著作者の取り分は10%ほどだが、電子書籍ではこれより高い率になりそうだ。

紙の本と電子書籍のすみ分けや相乗効果も狙っており、紙の本だけ、あるいは電子だけの発売や、それぞれに異なるプレミアムを付けることなどを考えている。紙の本で分冊の形にして安価で「ばら売り」することもあるという。「死ねばいいのに」は6話の連作ということで、携帯電話への販売では全6話のうち第1話は無料に、他の5話はそれぞれ税込みで105円に設定した。

今後、「誰が主導権を取るか」と巡り熾烈な争いが繰り広げられそうですが、結局は、著作権者、作家にとってどこにメリットがあるかということが決め手になるような気がします。そういった観点からは、従来の出版社という存在は、次第に、中抜きしているだけという存在になって衰退して行くのではないかという印象を私は受けています。
棲み分け、相乗効果と言っても、電子書籍が普及すればするほど、そちらの需要が高まり、紙の本を棲み分けて買わせるとか両方で売って相乗効果を狙うといったことは困難になって行くでしょう。
出版社が積極的に電子書籍普及へ動くのは良いことですが、長い目で見ると、従来の出版社というものを否定する方向へと向かい、新たな存在へと脱皮しなければ生き残れないのではないかと思います。書店等についても同様でしょう。