<取調室禁煙>消えゆく「1本吸うか」…15都道府県警実施

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100510-00000044-mai-soci

07年4月、愛知県警が、本部庁舎の建て替えをきっかけに取調室を全面的に禁煙にした。これを皮切りに禁煙化が各地で進む。警察庁によると、現在、警視庁と岩手、福島、富山、石川、福井、神奈川、岐阜、三重、滋賀、大阪、山口、沖縄、北海道の各道府県警に及んでいる。

警察庁は昨年11月、全国の都道府県警の留置場管理部門と刑事部門を対象に取調室禁煙化の賛否を問うアンケートを実施。留置場管理部門は全都道府県警が賛成する一方、刑事部門は一部の「態度保留」を除いて賛否が半々に分かれた。刑事部門に残る抵抗感が浮かんだ結果だが、警察庁総務課は「社会的な流れもあり、捜査優先だけを理由に取調室を聖域化するのはどうか」と話す。

千葉県警のあるベテラン捜査員は「たばこは容疑者の緊張をほぐすのに欠かせない。禁煙にすると取り調べがやりにくくなる」と言う。一方、警察庁のある幹部は「取調室の禁煙に反対するのは、捜査員自身が吸いたいという実情もあるのではないか」と話している。

検察庁にいる当時も、今も、時々、警察署へ行くことがありますが、刑事部屋のすぐそばに取調べ室がある、古いタイプの警察署では、部屋中にたばこの煙が充満し、ごみごみしていて、不健康を絵に描いたようなところが今でもあるものです。そういう状況も、今後、次第に姿を消し過去のものになって行くのでしょう。
警察署で留置されている被疑者、被告人にとって、留置場でたばこが吸えるのは運動の時しかなく、取調べ室に身柄を出されて、そこでたばこが吸えるのは楽しみ、ということが従来は多かったと言えるでしょう。たばこが吸わせてもらえるから自白する、ということは、さすがにないと思いますが、自白している、あるいは、警察に協力している被疑者、被告人には、「面倒見(めんどうみ)」と言って、警察側が様々な便宜を与える習慣(多くの場合は悪弊ですが)があり、その一環として、取調べ名目で身柄を取調べ室に出してやり、そこでたばこを吸わせてやる、ということが、従来はよく行われていました。それも、今後は難しくなるでしょう。
警察官で喫煙者というのは多いので、「捜査員自身が吸いたいという実情もあるのではないか」という警察庁幹部の指摘は、かなりあたっているのではないかと思います。