裁判官の官舎暮らしあれこれ(涌井紀夫)

昨年12月に逝去された涌井最高裁判事のエッセーが、「法曹」誌2月号に掲載されていました。今日、資料収集のため、霞が関弁護士会館図書館へ来ていて、法曹にたまたま目がとまり、開くと、掲載されていたため、読んでみました。
昭和41年の任官直後は民間のアパート等に住んでおられたことや、当初、貸与された官舎が、今はなき表参道の同潤会アパートであったこと(現在はその場所が表参道ヒルズになっています)、その後の官舎の様子などが、ユーモアも交えて紹介されていて、官舎事情の変遷がよくわかる内容になっていました。表参道の同潤会アパートは、2000年(平成12年)に、私がヤフー株式会社で働くようになり、当時は表参道にあった同社のオフィスへ通っていたころは、まだ健在で、緑の中にある、あの風格のある(?)建物の様子が思い出されました。
このエッセーでは、高位高官となった後に広すぎる一戸建ての官舎に住む不合理性や、むしろコンパクトでセキュリティ面に配慮された共同住宅のほうが望ましいのではないかといったことも書かれていて、その健全かつバランスのとれた感覚に、生前のお人柄がしのばれるものがありました。
お会いする機会はありませんでしたが、ご冥福をお祈りしたいと思います。