http://www.asahi.com/national/update/0225/SEB201002250032.html
キャラクターは「大谷吉継」で、全身に巻いた包帯の上に甲冑(かっちゅう)をまとい、巨大な数珠で敵を攻撃する。「己の身のみに降りかかった不幸を許容することができない」などと紹介されている。ハンセン病学会は16日付の要望書で「ゲームは史実通りでなく、遊び的要素も入っている」と認めた上で、「ハンセン病患者や回復者の人権や心情を深く傷つける可能性がある」と指摘している。
ドラマに登場する大谷吉継は、白い布で顔を覆うなどしていて、何らかの病気であることはうかがわれるものの何の病気かは曖昧に描かれているのが普通という印象があります。種々の配慮に基づいているのでしょう。
ゲームとはいえ、「己の身のみに降りかかった不幸を許容することができない」などと言って巨大な数珠で敵を攻撃したりすると、病気のせいで自暴自棄になって他者を攻撃しているようで、確かに、学会が指摘するように、配慮に欠けているのでは、という印象も受けなくはありません。
私のイメージは、司馬遼太郎「関ヶ原」に登場する大谷吉継のそれが大きく、石田三成の挙兵にあたり、敗北を予想して強く制止するものの、友が挙兵する以上は見捨てられないとの思いから敢然と立ち上がり、関ヶ原の戦場でも輿に乗り(既に身体が不自由で馬に乗れなかったため)、将兵を叱咤激励し東軍をぎりぎりまで追い詰める姿が、脳裏に鮮やかに蘇ります。病気のせいで自暴自棄になって他者を攻撃するような人物ではなかったことは確実で、私のイメージに照らしても、上記のゲームはいかがなものかという気がします。