ミラノ裁判所、Google社員にプライバシ侵害の有罪判決

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100225/345041/

この裁判は、2006年にイタリアのトリノ市で複数の学生が同級生をいじめている様子を撮影したビデオが同社のビデオ検索サービス「Google Video」に投稿されたことに関連している。当時、Googleはイタリア警察から連絡を受けて数時間以内にこのビデオを削除し、投稿者の特定について地元警察に協力した。のちに、投稿者はトリノ裁判所から10カ月の社会奉仕活動を命じられ、いじめに加わった他の生徒も同様の罰を言い渡された。
この事件で、ミラノ裁判所はGoogleの社員3人と元社員1人を名誉棄損とイタリアのプライバシ法違反にあたるとして起訴し、今回、名誉棄損については無罪としたが、社員1人を除く3人に対してプライバシ法違反を認定した。
しかしGoogleの説明によると、4人とも問題のビデオには無関係で、いじめ行為、撮影、投稿も行っていない。また、ビデオの関係者とも面識が無く、ビデオが削除されるまでビデオの存在すら知らなかったという。Googleは「この驚くべき判決に対して上訴する」としている。

以前、

いじめ動画流す、伊当局が管理者のグーグル捜査
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20061127#1164556414

とコメントした事件が、その後も延々と続いてたようですが、「プロバイダの刑事責任」という意味では、かなり問題のある判決結果になっているようです。
私自身、以前から、この問題は慎重に考えられるべきで、安易に刑事責任を拡大する方向に動くべきではないと考え、そういうことを言ったり書いたりしていて、今でも基本的な考え方は変わっていませんが、グーグル、ヤフーといった企業の活動を見ていると、巨大な利益をあげ個々の利用者がサービスの在り方に口を差し挟めないのをよいことに、個々人の権利(プライバシー権、名誉権など)をおよそ顧みない、独善的、利益至上主義という傾向がますます強くなっているという印象を受けています。そういった横暴を抑止するために、従来、我が国でも、プロバイダに対しては謙抑的に行使されてきた面がある捜査権の行使を、今後は、少し積極的に行使する方向で改め、「知りながら放置した」といったことが明らかなケースでは、関係者の立件ということも視野に入れる必要があるのではないかと考えています。
そういった観点で、今後、相談を受けたケースで、グーグル、ヤフーといった企業の関係者の刑事責任を視野に入れた対応をする可能性もある、とだけ、今はコメントしておきます。