公訴時効:殺人「期間短い」過半数−−内閣府調査

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100207ddm041040131000c.html

短いとした理由(複数回答)は「時間の経過で犯人が処罰されなくなるのはおかしい」が79・8%。以下、「時間が経過しても被害者の気持ちは薄れない」55・2%、「時間が経過しても犯人が判明する場合がある」36・9%など。
「短い」と答えた人に見直し策を尋ねたところ、「廃止」49・3%、「期間を延長」22・1%、「一定の事情がある場合のみ期間を延長」25・9%だった。

公訴時効期間を廃止する、あるいは大幅に延長すること自体は、刑事訴訟法を改正すれば可能で、それほど難しいことではありませんが、私は実務家なので、そうなった場合に、それに見合う捜査態勢が可能かどうかが気になっています。捜査機関、特に第一次的捜査機関である警察は、国民に対し捜査すべき義務を負っている立場であり、起訴の可能性がある限り、捜査をせず放置することはできないでしょう。時効になっていなければ、被害者や遺族も、強く捜査を望むはずであり、次々と新たな事件が起きる中、20年前、30年前、場合によっては40年前とか50年前の事件についてまで捜査する、ということが可能かと言えば、時間が経てば経つほど難しくなるのは自明でしょう。
犯人が判明している、あるいは有力な証拠がある場合に限定して時効期間を延長するというのは、1つの考え方ですが、証拠が乏しくても、例えば、犯人を知っているという人間が突然現れるなど、急転直下、事件が解決するということはあり、そこで線を引くかという悩ましい問題も生じます。
公訴時効期間を延長したり廃止すること自体に、私は特に反対しませんが、捜査をいかに継続するか、継続できないのであれば、何をどこまでやるのか、といったことを明確にするということもやっておかないと、収拾がつかないことになりかねなくなることが危惧されます。