検察官の勤務時間

昨日のコメント欄で、

大学の先輩で現役官僚の方(若手)のお話を聞く機会があったのですが、早く帰宅できる時でさえ終電にギリギリ間に合うレベルとのことでした。検察官・裁判官も似たようなものなのでしょうか?

というものがありましたが、裁判官についてはやったことがないのでよくわからないものの(かなり忙しいとは思いますが)、検察官については、常に終電ギリギリ、までではないがそういうことも少なくない、とは言えるでしょう。繁忙度を決めるのは、

1 所属している検察庁刑事部や公判部など担当している職務
2 担当事件の数、性質
3 その検察官の能力(特に事務処理能力)

ではないかと思います。
1については、地方の検察庁よりも都会の検察庁、公判担当よりも捜査担当、捜査の中でも刑事部(一般刑事事件を取り扱う)よりも特捜部や公安部(公安事件を扱う場合)所属のほうが、繁忙度は高くなります。特に、特捜部のような、社会的に注目され大勢の人が動き次々と捜査が展開されるような場面に投入されると、休日はなく、夜も終電まで、時には終電でも帰れずタクシーで帰宅したり役所に寝泊まりする、といった生活が続くことになります。
2については、1とも絡みますが、担当している事件数が多かったり、複雑困難で手間暇がかかるといった事情があると、必然的に、時間をかけないと物事が前に進まないので、休日返上、深夜まで働くということになりがちです。
3は、意外に重要なことですが、事務処理能力に問題があると、忙しそうにしている割には物事が前に進んでいない、ということになりがちで、忙しい、忙しいと言っているのが、単に仕事が遅いだけではないか、ということはきちんと検証される必要があります。
最近の検察庁は、処理を求められる事件数(かかる手間暇も含め)に対し、絶対的な人員が不足しているという傾向が強く、なかなか解消される方向には向かっていないようで、どこへ行っても一般的な繁忙度はかなり高いということは言えるでしょう。
私の経験で言うと、慢性的に忙しいのは仕方がないことで、そういう中でも、事件を処理し次の事件の処理まで少し余裕ができたら休暇を取って休んだりいつもより早めに帰宅するなど、メリハリをつけた生活をして、疲れやストレスを溜め込まないよう、自分なりに注意、工夫する必要があるのではないかと思います。それは、弁護士にも言えることで、適当に息抜きなどしながら、壊れたりぽきっと折れたりしないよう、自己管理を徹底する必要があります。
ただ、弁護士の場合、組織人ではないので、時間の調整を柔軟に行いやすい面がありますが、検察庁の場合、ピラミッド型の軍隊のような組織ですから、メリハリ、息抜きと言ってもなかなか難しい面があるのは事実で、そのあたりは、しがなくても弁護士のほうが自由がきくことは間違いありません。
法曹になることは、平均以上の活動をする以上(平均未満で仕事がなく暇、という人もいますが)、常にいろいろな案件を抱えハードに働く生活が10年、20年、30年と続くという、厳しい世界に身を投じることであり、それなりの覚悟を持って進路選択を行う必要はあるように思います。