最高裁判所は変わったか―一裁判官の自己検証

最高裁判所は変わったか―一裁判官の自己検証

最高裁判所は変わったか―一裁判官の自己検証

先日、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090909#1252469090

とコメントした後、総論的な部分と、各論的な部分のうち刑事関係のところを中心に読んで、一応一通り読み終えました。

私の場合、刑事事件を扱うことが比較的多い弁護士なので、最高裁についての関心もそちらへ向いてしまうのですが、率直な感想としては、正面からの上告理由にはなっていない事実誤認、量刑不当といった問題点に、最高裁にはもっと正面から取り組んでほしいし、そのために法改正や人員増強が必要であれば、その権限がある人々が面倒がらずにやってほしいと思いました。民事事件であればお金で解決がつくことが多くても、刑事の場合は「身体」がかかっているだけに、誤りがあった場合の取り返しのつかなさが極めて大きい、ということに、もっと思いが致されなければならないでしょう。そのことは、冤罪が判明した足利事件を見るだけでも明らかです。現在のような、事務総局を核とした司法官僚の堅固な組織の上に最高裁判事が乗っかっている状態では、たまに良い判決が散発的に出る程度以上のことはできそうにありません
例えば、各高裁の上級裁判所として、各高裁単位でかつての大審院に相当する裁判所を設けて事実面での審理を充実させ、合憲・違憲の判断や法解釈の統一等の必要性があるもののみ最高裁へ移送してその判断を仰ぐ(最高裁はそういった判断に特化する)、といった制度改革も、今後、検討の余地があるのではないかと思いました。