http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090723-00000082-san-soci
戦前、やはり警視庁に大橋秀雄という警部補(後に警視正)にがいました。20世紀最大級のスパイ事件の主犯、ゾルゲの取調官だった人です。大橋警部補は後に刑死するゾルゲに正面から挑み、罪を認めさせます。大橋警部補は殺人犯を調べる捜査1課ではなく、外事課でした。現在、公安部に置かれている外事課は当時は、拷問による自白強要で知られた特別高等警察部(特高)に置かれていましたが、ゾルゲの回想によれば、大橋警部補は終始、理知的で紳士的かつ情熱的だったといいます。心身を傾けた取り調べに、ゾルゲは心を開き、罪を認めたのです。
大橋氏については、以前、本ブログでも、
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070816#1187245057
とコメントしたことがありますが、極めて優秀な頭脳を持ち、かつ、ソ連への忠誠心から信念に基づいてスパイ活動を行っていた、あのゾルゲから自白を得て、しかも、自白後も感謝されていたということを見ると、非常に優秀な取調官であったことは間違いないでしょう。
亡くなった後に新聞に掲載された追悼記事にも、人間味のある人格者であったことが紹介されていた記憶があり、取調官としての1つの理想像と言っても過言ではないと思います。
東京拘置所あたりで、机を叩いたり怒鳴ったりしている取調官は、調べた相手からも恨まれ、歴史の中で、ただ消えて行くだけですが、こういった優秀な取調官は、歴史の中で燦然と輝き、人から人へと伝えられて行く、ということを、しみじみと感じます。