http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090714-00000835-yom-soci
同手続きでは事実誤認を理由とした控訴が認められないことについて、被告は「憲法が保障する『裁判を受ける権利』を侵害している」と主張したが、藤田宙靖裁判長は「上訴の制限を定めても、合理的な理由があれば憲法に違反しない」と述べ、同制度を合憲とする初判断を示した。
記事では触れられていませんが、最高裁のサイトにアップされている判決文を読むと、田原裁判官の補足意見があって、一審弁護人と被告人間の意思疎通が十分でなかったことを窺わせるとした上で、「弁護人が被疑者(被告人)との意思疎通に十全を期し、本件の如き上訴が提起されることがないことを願うものである。」と結ばれています。合憲かどうかということ以上に、補足意見における指摘にこそ、本件の、また、今後、起きる可能性がある同種の問題の本質が存在するのではないか、というのが、私の率直な感想です。
裁判員制度、被疑者国選制度など、刑事弁護の重要性がますます高まる新制度がスタートしていますが、期待される役割が担える人材は、実は少なく、そういった実態を踏まえない制度改革が、様々な不幸な人々を生みかねず、実際に生んでしまっている、ということについて、目を向ける必要性をしみじみと感じます。
田原裁判官は、弁護士出身であるだけに、そういった問題意識を鋭く持ち、敢えて補足意見で警鐘を鳴らしているのでしょう。
追記(平成22年3月3日):