警察官が私費で購入したノートに記載し、一時期自宅に持ち帰っていた取調べメモについて、証拠開示を命じた判断が是認された事例(最高裁第一小法廷平成20年9月30日決定)

判例時報2036号143ページ以下に掲載されていました。
この判例も、先に本ブログでもコメントした

取り調べ時の警官備忘録「裁判証拠」 最高裁も開示命令
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071227#1198714917
犯罪捜査に当たった警察官作成の書面が証拠開示の対象になり得るとされた事例(最決平成20年6月25日・判例時報2014号155ページ)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20081102#1225610894

の流れの中に位置づけられると思われ、この流れは定着したと言って良いと思いますが、平成20年9月30日決定の意義は、判例時報のコメントが指摘するように、

1 証拠開示命令の対象文書性について、特定の文書の作成経過等を踏まえて最高裁が判断した初めての事例であること
2 犯罪捜査規範13条備忘録該当性に言及することなく原判断を是認しており、同該当性が証拠開示の対象文書性を肯定するための必要条件ではないとの立場に立っていると推測されること

ということにあるようです。
今後、証拠開示に反対する検察官が、犯罪捜査規範13条備忘録該当性を問題にすることがあった場合は、弁護人としては、本決定を根拠に反論する必要があるでしょう。