森法相、民主の西松報告書に「看過できない」

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090612/trl0906121111005-n1.htm

森法相は、今月10日に民主党に提出された報告書で、法相が指揮権を発動して逮捕・起訴を差し止めることに言及していたことに触れ、「指揮権発動すべきだったと読める部分があり、民主党もこれを是としているようだ」と指摘。「一連の検察の捜査に対し、民主党側は『国策捜査』などと繰り返していることにもかんがみ、公党の姿勢として大いなる疑問を感じざるを得ない」と述べた。
そのうえで、「検察はこれまで一環して不偏不党を旨として活動してきたのであって、私は検察に全幅の信頼をおいてその独立性中立性を尊重したい」と強調した。

検察庁法上、法務大臣は、個別の事件につき検事総長のみを指揮できるものとされていて、検察権の行使が政治の不当な影響を受けることを防止しつつ、検察権が民意に反して暴走することも防止できるようにしています。
日本で、法務大臣の指揮権発動が問題になったのは、終戦後間もなくの造船疑獄の渦中におけることでしたが、日本の仕組みを取り入れたとされている韓国では、最近、同様の問題が生じたという報道に接したことがあります。

韓国法相、検察に指揮権発動 親北朝鮮発言での逮捕不可
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20051014#1129296472

法務大臣は、「検察はこれまで一環して不偏不党を旨として活動してきた」と言っていますが、不偏不党が見せかけだけで、一党一派に偏った検察権行使が行われようとしていたり、一見、証拠に基づいているように見せかけながら、証拠が、脅迫や利益誘導等を織り交ぜながらでっち上げられたようなものであるといった正義に反するような事態に直面すれば、暴走を阻止するため指揮権を発動すべき場面というものはあり得るでしょう。
足利事件における「自白」なるものが、密室で、やってもいない人からもぎとられてしまい、DNA鑑定で犯人性が否定されるまでは独り歩きしてしまったように、私たちは不偏不党です、国策捜査なんてやりません、全幅の信頼がおけますと言い募られても、何の検証もできないのではどこまで信用できるかわかりません。
その意味で、森法務大臣が言うように、現在の検察庁が「全幅の信頼をおく」に値する存在なのかどうかということは、今後も検証する必要がありそうです。