幼稚園バス運転手は幼女を殺したか

幼稚園バス運転手は幼女を殺したか

幼稚園バス運転手は幼女を殺したか

足利事件について、証拠の問題点を丹念に取り上げていて、3分の1ほど読んだところですが、特に「無実」が明らかにになった今読むと、かなり興味深い問題点が次々と出てきます。
一見、「具体的、詳細」な自白にはなっていたようですが、丹念に見て行くと、矛盾が次々と出てくる上、犯行現場付近で、犯人像が全く異なる別の人物(中年の男性)が、被害者ではないかと思われる幼女を連れて歩いていた姿も目撃されていたとのことであり、その人物こそ真犯人である可能性が高いのではないかという印象を強く受けます。
取調べ官が、捜査で収集した様々な情報を基に、いかにも被疑者が自ら話しました、という体裁の供述調書を作成したことは間違いなく(そもそも、やっていない人がやっていないことをそこまで具体的、詳細に語れるはずがない)、取調べが可視化され、その状況を録画、録音により検証することができれば、自白に対する見方は大きく変わったはずです。そこに、当時のDNA鑑定の精度の限界というものに率直に目が向けられていれば、もっと早く無罪判決が出て、無実の人が長く服役するという取り返しがつかない事態は防げた可能性があります。
一審の途中から、被告人は自白から否認に転じますが、一審の弁護活動が低調であることも印象的であり、刑事弁護のレベルが低いと、結局、弁護士も冤罪を生み出すことに協力してしまうことになるということを強く感じました。

<20年目の真相 足利事件・再審無罪へ>(上)捜査 鑑定で「自白」引き出す 崩れた供述の信用性
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20090606/157630
足利事件特集(下野新聞
http://www.shimotsuke.co.jp/special/ashikaga-jiken/