<国際離婚>急増で紛争多発、日本に「ハーグ条約締結」要請

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090531-00000060-mai-soci

米国大使館などによると、米国人の父親と日本人の母親が離婚し、母親が子供とともに帰国した後、連絡が取れなくなり、父親が子供と一回も会えない事例が報告されている。外国人の父親が日本の娘に手紙を書いても、すべて返送されてしまい、連絡がつかないという訴えもある。米国では、こうした事態は「子供を奪取する犯罪行為」として非難され、FBI(米連邦捜査局)が幼児誘拐の疑いで国際指名手配するケースもある。
4カ国が日本を問題視するのは、ハーグ条約を締結していないため、海外に住む親が子の居場所を捜してもらうなどの協力を日本政府から得られないためだ。日本から海外に子を連れて行かれた場合も、日本人の親は日本政府を通じ子の面会請求などができない。

しかし、現状のまま締結した場合、十分な自国民の保護ができるのかなどの理由から慎重論もある。外務省国際法課は「『民事不介入』が日本政府の立場。ただ、国際結婚と離婚は増えており、締結できるか検討中だ」としている。

ハーグ条約
国際的な子の奪取の民事面に関する条約。1983年発効。離婚などから生じる子供の国境を越えた移動自体が子供の利益に反し、子どもを養育する「監護権」の手続きは移動前の国で行われるべきだとの考えに基づいて定められた国際協力のルール。子を奪われた親が返還を申し立てた場合、相手方の国の政府は迅速に子の場所を発見し、子を元の国に返還する協力義務を負う。今年5月現在、米欧を中心に81カ国が加盟しているが、G8(主要8カ国)のうち日本とロシアは未締結。

以前にもこの問題を指摘した新聞記事を読んだことがありますが、子の監護という問題について、世界統一のルールで律してしまってよいかどうか、条約の双務性というしばりがかかることで、日本側が思わぬ過度の負担を強いられることにならないか、といった懸念があって締結に踏み切れないのではないかと推測されます。
ただ、死刑存廃問題にもそういった側面がありますが、この問題はドメスティックな性質のものだからと従来の方針に固執していると、気がつくと世界の潮流から取り残された野蛮国家、という誹りを受けかねない上、条約を締結しないということは、自国民が条約による保護を受けられないということでもあり、この状態をいつまでも続けて良いか、ということは、今後、繰り返し問題になって行くことでしょう。
以前に読んだ記事では、我が子を日本に連れ帰った親が、その後、日本から海外へ渡航した際、渡航先で誘拐罪(と言うのかどうか正確にはわかりませんが)で起訴され、有罪になって服役した例もあるとのことで、外国人との離婚問題を抱える日本人は、特に子の監護権について、現地の法制度の十分な検討が不可欠でしょう。