神奈川・秦野の競売入札妨害:「弁護権侵害」認めず、弁護士が逆転敗訴

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090522ddm041040070000c.html

高裁は「事実を話すよう説得する発言の一環で、弁護士との意思疎通が困難になったわけではない」と判断した。

<弁護権侵害>国側に10万円の賠償命令 横浜地裁
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20081025#1224863811

控訴審判決ですが、この問題の本質が、高裁の民事裁判官にはわからないんだな、というのが率直な印象ですね。
被疑者、被告人と弁護人の関係というものは、相互の信頼関係に基づいていて、信頼関係が破壊されても「意思疎通」自体はできますが、その基本となる信頼関係が、取調官により違法に破壊されては上記のような関係自体が成立しなくなる、というのが問題の本質でしょう。事実を話すよう説得するのに、原審の認定では、「弁護士は責任とってくれないよ」「洗脳されてるんじゃないの」と取調官が言ったとのことであり、高裁がその点をどう認定しているかは、記事上、はっきりしませんが、そういった発言を、上記のような論法で肯定しているのであれば、本質から目をそむけた陳腐な見方と言うしかなく、この判決自体が弁護権を侵害している、と言えるかもしれません。
取調べの可視化ということを推進しないとどうなるか、ということを浮き彫りにした判決ということも言えそうです。