民事控訴審の判決と審理

民事控訴審の判決と審理

民事控訴審の判決と審理

私のような経歴で弁護士をやっていると(検事→弁護士)、「民事もやるんですか?」といった質問を受けることがありますが、次第に受任している民事事件が増えてきていて、その中には高裁で審理中の控訴事件も複数あります。
平成12年に弁護士になった後、ヤフー株式会社の業務と通常の弁護士業務の両方をやるようになった当初は、仕事を依頼する人がまだ少なかったことと、
高等検察庁勤務の経験がなく刑事の控訴審に興味があったこともあって、国選で控訴事件をやることが多く、東京高裁にはよく行って、15階の記録閲覧室にパソコンを持ち込んで記録を読みながら控訴趣意書を作成したりしていたものでした。そういう中で、事後審である刑事の控訴審で、事実誤認とか量刑不当(この2つが控訴理由になることがほとんどですが)といった問題が、どういう取り扱われ方をするかがある程度理解でき、かなり勉強になったものでした。
法律の勉強をする中で、控訴審の構造が、刑事は事後審、民事は続審と習っていて、上記のような、刑事控訴審にどっぷり浸かった頭で民事控訴審に臨んでみると、かなり「事後審」的に運用されていて、刑事控訴審の感覚とあまり違和感がなく、拍子抜けするような気分にとらわれたことがありましたが、その辺の事情は、この本の中に丁寧に書き込まれています。最近、購入した後に、飛ばし飛ばしながら読みましたが、現在の民事控訴審における実務がどういった考え方に基づいて運営されているかがよくわかり、参考になる1冊という印象を受けました。
今後も、必要に応じ取り出しては読む、ということになりそうです。