森田知事の「選挙手法」告発へ どこがどう問題なのか

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090413-00000003-jct-soci

当選直後、現在でも都内の自民党支部自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部」の支部長を務めていることが発覚。同支部は04年〜07年に約1億6000万円の企業・団体献金を受けており、そのうち9割以上にあたる約1億5000万円を、森田氏の資金管理団体森田健作政経懇話会」に寄付していたことが明らかになっている。

森田氏が代表を務める自民党の「第2支部」が、05年と06年に、ディスカウントストア大手の「ドン・キホーテ」からそれぞれ650万円、360万円の献金を受けていたのだが、同社では外国人・外国法人の持ち株比率が50%を超えていた。当時の政治資金規正法では、外国人・外国法人の持ち株比率が「50%超え」の企業から献金を受けることが禁じられていたため、同会では同法違反の容疑でも告発したい考えだ。

寄付については、禁止されているカテゴリに属することを知らなかったで逃げる余地がありそうですが、虚偽事項の公表容疑については、自民党との関係が密接であったようであり、「無所属」とは異なる実態がかなりあるようにも見えますから、森田知事としてはなかなか厳しいものがあるかもしれませんね。
過去に問題となった同種事案では、学歴、経歴の詐称が問われたケースが多いのではないかと思います。そういった詐称も、その人物の資質、能力を判断する上で重要ですが、森田知事の問題は、政治家として「無所属」であったのか、そうではなかったのかという、極めて本質的な問題であり、人々の投票行動に影響を及ぼした度合いも強いと思われ、今後の捜査の進展によっては、極めて重大な局面を迎えるという可能性もありそうです。

追記:

トラックバックがあったブログで引用されている名古屋高等裁判所金沢支部判決昭和35年1月22日を、最近、活用しつつある判例秘書JPで検索して読んで見たところ、立候補推せん届出書に「無所属」と記載された候補者につき政党支部推せんの表示のある選挙公報掲載文を掲載した公報を発行した場合の選挙の効力等が問題となった訴訟で、

つぎに前記烏畠候補の立候補推せん届出書中同候補者の所属政党欄における「無所属」の記載は、同候補者がいかなる政党所属の党員でもないということを意味しない。すなわち、公職選挙法施行令第八十八条第一項、第二項、第五項の規定によれば、候補者の立候補届出書又は推せん届出書に候補者となるべきものの所属する政党その他の政治団体の名称を記載することが要求され、右記載の真実性を証明するため当該政党その他の政治団体の証明書(参議院議員の選挙については政党その他の政治団体の本部の総裁、会長、委員長等の証明書)の添付が必要である。右政党の党籍証明が得られなければ所属政党の名称が記載ができず、立候補届出書又は推せん届出書には「無所属」と記載するよりほかないのである。ことに証人田頭孝三の証言、被告石川県選挙管理委員会委員長鈴木雄市本人尋問の結果によれば、本件選挙には前記鳥畠を含む三人の自由民主党員が立候補し、その間公認争いが演ぜられたこと、その結果右鳥畠は右政党所属の党員でありなから公認の選に洩れ右党の党籍証明を得ることができなかうたため、前記のように立候補推せん届出書に「無所属」と記載せざるを得なくなつたといういきさつが認められる。加くして、右「無所属」の記載は政党その他政治団体の右証明書を得られなかつた場合記載すべき相当広い意味を有する呼称である。したがつてそれは鳥畠候補が前記の如く自由民主党所属の党員であることと矛盾しないし又これを否定すべきものでもない。又成立に争ない甲第二号証ないし第四号証によれば前記ポスターにおける「自古民主党」の表示は右候補者の氏格の上部或いは写真の下部に記載され、前記立候補推せん届出書の記載と比務するとき一見妥当を欠くように思われるけれども、右候補者が前記の如く事実上自由民主党所属の党員であるかぎり右ポスターの記載は必ずしも真実に反しない。

とあって、上記のように、証明書が得られず「立候補届出書又は推せん届出書には無所属と記載するよりほかなかった」候補者が、党員であることを表示したことにつき、真実に反しない、としたものであることがわかりました。
証明書が得られていない、ということで、即、「無所属」としか名乗れないということであれば、上記の裁判例で、そのような判断は出ていないはずで、この裁判例をもって、今回の森田知事(特に、「完全」無所属とした点)について犯罪が成立しないと直ちに断定することはできないのではないかと思います。
まずは、慎重な捜査の上で、千葉地検特別刑事部が判断を下す必要があるでしょう。