発信者の情報開示を命令 神奈川の11万人情報流出で

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/090313/trl0903132228015-n1.htm

この問題では、IBMの関連会社社員のパソコンが「ウィニー」を介しウイルスに感染し、パソコンに残っていた生徒の名前や口座番号などが流出。別のファイル交換ソフト「シェア」上で約2000人分、「ウィニー」上で11万人分の情報流出が確認された。
IBMは発信者のIPアドレスを特定しプロバイダーに情報開示を求めたが開示されず、同地裁にプロバイダーに対する情報開示の仮処分を申し立て、同地裁が先月26日、開示を命じた。これを受け、IBMは同地裁に発信者に対する情報の再発信禁止の仮処分も申し立て、今月6日に認められていた。

町村教授ブログでもコメントされていましたが、

http://matimura.cocolog-nifty.com/matimulog/2009/03/decision-c1a2.html

通常、仮処分で、発信者の住所、名前といった本人を直接特定できる情報までは開示されておらず(そこは本訴で、という仕組み)、本件でそこまで認められた、というのは、記事にあるような「発信者に対する情報の再発信禁止」を求める上で、例外的に緊急かつ高度な必要性があると判断されたが故、という可能性が高いでしょう。
何が被保全権利になっていたか、ということにも興味を感じますが、債権者の中に、流出した情報に含まれていた人が1人でも含まれていれば、そこは簡単にクリアできるので、IBMとともにそういった人々が何人か名前を連ね、あわせて1本、といった形で認めてもらう、という手もあるかもしれません(実際にそのような手段が講じられたかどうかはわかりませんが)。
日本では、プライバシー侵害に刑事罰が科されておらず、こういった問題を契機に、一定のプライバシー侵害行為を処罰すべきではないかという議論が再燃する可能性もありそうです。その場合、グーグルストリートビューのようなサービスも検討対象にはなる可能性が出てくるでしょう。