グーグル、「Street View」のプライバシー問題に関する訴訟で勝利

http://japan.cnet.com/marketing/story/0,3800080523,20388509,00.htm

Google Mapsのこの機能に対して憤慨しているのはBoring夫妻だけではない。2008年にも、カリフォルニア州フンボルト郡の住民らも、写真を撮影するために雇われたドライバーが、私有地の標識を無視して私道に車を乗り入れたと不満の声を上げているという報道があった。また2009年1月には、ミネソタ州セントポール近くにあるプライベートなコミュニティーも、その道路や家がStreet Viewに掲載されたことを不服として、Googleに対して画像の削除を申し入れていた。なお、Googleはこの申し出に従って画像の削除を済ませている。
しかしGoogleは、衛星写真や航空写真が存在する現代において、この種のプライバシーはもはや存在していないということを根拠として、私道からの写真撮影も法的に許されるはずだと主張している。
GoogleはBoring夫妻の訴えに対して、「今日における衛星写真テクノロジの存在からすると、完璧なプライバシーというものは存在していない」と述べている。

PDFになっている判決理由にざっと目を通してみましたが、語学力に乏しいのでなかなか理解できないものの、具体的な損害の立証がないといったことが理由になっているのかな、という印象を受けました。
日本でこの種の訴訟が起きた場合、まず、原告のプライバシーが侵害されていると言えるかどうかということが問題になるでしょう。写りこんでいる人やその他の情報によっても、どこの誰のものか、一定のそれほど広くない範囲の人々にも特定困難であるということになれば、プライバシー侵害があるとは言えず請求は棄却されるはずです。
そういった点が一応肯定された場合、おそらく、グーグル側としては、サービスとしての有用性や社会的必要性等を強調し、多少のプライバシー侵害があるとしても、それを上回る利益がもたらされていると主張するはずで、最終的には、裁判所が、プライバシー侵害の程度とサービスとしての有用性、社会的必要性等を総合考慮して、違法性を決することになると思われます。
単に、衛星写真や航空写真が存在する現代においてこの種のプライバシーはもはや存在していないとか、今日における衛星写真テクノロジの存在からすると完璧なプライバシーというものは存在していない、といった抽象論を展開するだけでは、少なくとも日本の法廷では、グーグルは厳しい状況に立たされるのではないかと思います。