<アトリウム融資>担保株を満額評価 通常は時価の8割以下

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090106-00000007-mai-soci

アトリウムによると、105万株を担保設定したのは、計3回にわたる総額19億8700万円の融資のうち2回目の後の08年5月。担保評価の際、過去半年間の平均株価1972円に株数を掛け合わせ20億7060万円と算定した。融資額とほぼ同額で、同社は毎日新聞の取材に「(株の担保価値を)時価の100%で評価した」と説明。そのうえで「福利厚生を目的とした社内融資であり、適切と考えている。複数の弁護士から『問題ない』との意見書も得ている」とした。
しかし、証券関係者によると、通常の融資実務では(1)株は元々下落リスクが高い(2)担保処分のため大量の株式を一気に売却すると株価が下落する−−などから、時価相当額の80%以下で評価するという。銘柄によっては50%程度で評価することもあるとされる。


http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090104#1230997741

でもコメントしましたが、「担保評価の際、過去半年間の平均株価1972円に株数を掛け合わせ20億7060万円と算定した。」という算定方法も大いに疑問ですね。先の記事では、「借入時は1株1096〜1662円だった」とありましたから、わざわざ平均株価を使うことで、担保評価をふくらませたという見方も十分可能でしょう。通常ではあり得ない融資であることは間違いないと思います。
上記のエントリーを書いた後、インターネットで株式の担保評価の際の掛け目をいろいろと見てみましたが、上場株で、せいぜい80パーセントであり、それを超えるというものはありませんでした。
よく、弁護士に意見書を書いてもらった、と、あたかも免罪符のように言う愚かな素人の方がいますが、要は内容が問題であり、内容が不自然、不合理、非常識であれば、そんなものが複数あっても、それを前提に動いた人の責任は免れないでしょう。場合によっては、その意見書を書いた弁護士も背任罪等の共同正犯や幇助犯になるだけです。特に検察庁は、弁護士が書く意見書など、金を積めば何でも書いてくれる程度にしか見ていませんから、十分注意が必要です。
単に、弁護士の意見書があって、それも複数あるから安心だ、といった安易なレベルではなく、特に重要な事案、評価が微妙な事案にあっては、その内容の妥当性等を厳しく吟味し、刑事事件として立件され逮捕・勾留され、東京拘置所で朝から晩まで怒鳴られたり、時には壁の前に立たされたりして厳しい取り調べを受けても頑張り通せるか、間違って起訴されても無罪を勝ち取れるか、といったレベルまで検討しておく必要があるように思います。