ピック病の影響により完全責任能力が認められないとの主張が排斥された事例(東京高裁平成20年5月15日判決)

判例時報2019号127ページ以下に掲載されていました。以前、

若年認知症「ピック病」で万引き 厚労省が調査
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070226#1172446091

とコメントしたことがありましたが、そのエントリーを見た、ピック病の影響があったのではないかという窃盗被告人から相談を受け弁護を担当したことがありました。その事件は、実刑の可能性も高い、なかなか難しい事件であったものの、情状立証を丹念に行い、幸い、裁判所の理解を得ることができて、執行猶予付きの判決となりましたが、そういう経験もあったので、上記の高裁判決が目にとまりました。
判例時報のコメントが参考になりますが、この病気を理由に責任能力が争われた裁判例自体が非常に少なく、それだけに、責任能力の判断手法が参考になるとともに、ピック病が責任能力に及ぼす影響を今後も解明して行く必要性を感じさせるものがあります。