テロルの決算

新装版 テロルの決算 (文春文庫)

新装版 テロルの決算 (文春文庫)

昨日、六本木ヒルズ内で仕事をした後、夜、事務所へ戻る前に、森タワー内の書店に立ち寄ったところ、これを見かけ、買いました。既に文庫化されていたものを、新装版として出版したようです。
以前、本ブログで、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20050925#1127581756

とコメントしたことがありますが、私が初めてこの本を読んだのは、司法修習生の時であったように思います。当時は(今も似たようなものですが)、修習が終わってから、書店に立ち寄り本を見て回り、興味を感じた本があると買って読む、というのがほとんど唯一の楽しみで、そういう中で、この本も読んだ記憶があります。
有名な浅沼稲次郎社会党委員長刺殺事件に登場する、浅沼氏と、犯人の山口二矢のそれぞれの人生を丹念にたどり、異なって歩んできた2つの人生が、事件の場(日比谷公会堂)で、一瞬、交錯するという、そのストーリー展開に、かなり心酔しつつ読んだ記憶があります。テロを美化、正当化するつもりは毛頭ありませんが、私利私欲といった動機とは無縁な、山口二矢のような人物は、いつの時代にも出現するものであり、そういった人物や行為に対してどういった立場に立つとしても、ただ、暴力はいけない、テロは許されない、といった表面的なお題目を唱えるだけでは何も変わらないし何も生み出すこともできない、といった読後感を、その後、ずっと抱き続けているような気がします。
ノンフィクションとして非常に高いレベルにある1冊であり、この分野に興味ある方にはお勧めできます。