司法修習生 能力ばらつき 最高裁 新試験後を分析

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008100602000140.html

一方で、増加する「下位層」は「司法試験合格者数の増加と関係があるのではないか」「民法や刑法など基本法について表面的な知識だけで、理解が十分でないため、事案の適切な分析検討ができない者が相当数含まれているのではないか」としている。

法律実務家が取り扱うのは、民事事件にしても刑事事件にしても、広い意味での「紛争」であり、紛争はできる限り速やかに解決される必要がありますが、紛争の事実関係を正しく認定するとともに、認定した事実を適切に分析して法的な評価を加え、問題点をうまく抽出する能力ということが強く求められるものです。
従来の司法試験、司法研修所という教育の流れの中では、司法試験段階までは、上記のようなプロセスのため必要な知識、法解釈力が徹底的に求められ、合格して司法研修所に入った後は、身についている知識、法解釈力を駆使して事案を分析し問題点をうまく捉える能力が養われる、という、一種の役割分担、棲み分けが行われている面がありましたが、制度が激変し合格者も激増する中で、そういったバランスのようなものが崩れてきている可能性はあるでしょう。
「事案の適切な分析検討ができない者」が続々と出現するということは、紛争を解決するという目的に貢献できない実務家が次々と世に出てくるということであり、かなり由々しき問題ということになります。