印象に残る一節

先日、本ブログでコメントした

広田弘毅―「悲劇の宰相」の実像 (中公新書)

広田弘毅―「悲劇の宰相」の実像 (中公新書)

は、その後、徐々に読み進んで、間もなく読み終わろうとしていますが、昭和天皇広田弘毅に対し失望し、戦後になっても厳しい目を向けていたことを紹介した部分で、

危機的な状況にあって政治指導者は、うつろいやすい時流に染まってはならない。国家の岐路に立つ瞬間であればなおのこと、大勢に順応するのではなく、大所高所から責任ある決断力を発揮すべきである。最晩年の天皇は、ときの権力者や後世にそう言い残そうとしたのかもしれない。逆説的な表現ながら、身をもって体験した敗戦から学んだ歴史の教訓だった。
(195ページ)

とあって、広田弘毅という人物の、最も致命的であった弱点を突いているとともに、政治家としての非常に重要な資質を指摘しているように思いました。
広田弘毅とは、置かれた立場が異なり、軽々には比較できないものの、広田弘毅と同じ外交官出身であり、戦後、首相となった吉田茂は、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20060831#1156952325
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20070120#1169288028

でもコメントしたように、ただ時流に流されるのではなく、日本を亡国の淵から救い出すべく身命を賭して終戦工作に従事していて、人間としての身の処し方ということを改めて考えさせられました。