佐々木俊尚 ジャーナリストの視点 毎日新聞社内で何が起きているのか(上)

http://japan.cnet.com/blog/sasaki/2008/08/05/entry_27012752/

毎日デイリーニューズの低俗記事問題に関連して論じられていますが、かなり核心を突いている、という印象を持ちました。

別の全国紙社会部記者の証言。「毎日の低俗記事事件をきちんと報道すべきという声は部内でも多かったし、僕もこの問題はメディアとして重要な事件だと認識している。でもこの問題を真正面から取り上げ、それによって新聞社に対するネットの攻撃のパワーが大きいことを明確にしてしまうと、今度は自分たちのところに刃が向かってくるのではないかという恐怖感がある。だから報道したいけれども、腰が引けちゃってるんです」
この事件のマスメディアでの報道が少なく、扱いも小さいのは、「同じマスコミ仲間を守ろう」というような身びいきからではない。この記者も言うように、不安におびえているだけなのだ。

私自身、こうしてブログをやっているだけで、いろいろな人から様々な問い合わせ、取材依頼、事件相談等々が、連日、次々とあって、対応に追われているような状況ですが、そのように、いろいろな方々の目にとまっているのも、インターネットがあるからこそで、今後とも、うまく付き合い活用して行く必要性を痛感しています。付き合い方、活用方法を誤れば、上記の記事にあるような、集中攻撃を受けるといったことにもなるわけで(「炎上」ということにもつながりますが)、成功と失敗が常に裏腹の関係になっている、ということも言えるでしょう。そのあたりを、毎日新聞の主流派は、どうも見誤っていて、インターネットというものをいたずらに敵視し、インターネットの向こう側にいる人々は一種の魑魅魍魎、得体の知れない者ども、という意識にあまりにもとらわれすぎているという印象を、私も持っています。
毎日新聞に限りませんが、既存の秩序の中で一定の成果を挙げてきたという自負がある組織や人ほど、インターネットとの付き合い方、対処方法ということを慎重に考える必要があるでしょう。そこに、既存の成果を一挙に覆し無にしてしまうという大きな落とし穴が待ち受けている可能性があります。