救命救急の医療事故「刑事責任免除も」 自民が検討

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080730-00000076-san-pol

救命救急の現場では、重い救急患者に接する機会が多いことなどから、医師が医療事故に遭遇するケースが少なくない。業務上過失致死傷罪に問われる可能性があることなどから、現場の医師が不足するといった問題が指摘されている。
私案には医師不足の不安解消の狙いがあり、刑法211条を改正し「救命救急医療で人を死傷させたときは、情状で刑を免除することができる」の条文を新たに加えるという。

以前読んだことがある

評決 (ハヤカワ文庫 NV 316)

評決 (ハヤカワ文庫 NV 316)

で、被告(病院)側の弁護士が、上記のような根拠で医療関係者の民事責任を限定、免除する立法を目指そうとして、病院経営者のカトリック司教に止められる、という場面があったことを思い出しました。
上記のような改正は、一つの考え方とは思いますが、その場合の「情状」とは何か、ということを、きちんと整理して検討しておくべきでしょう。また、同様の事態は、救命救急医療だけで生じるわけではなく、医療関係者以外が、善意で人命救助等に関わり、何らかの過失に基づいて人を死傷させる、ということもあり得ますから、救命救急医療に限定して良いのか、ということも検討が必要でしょう。そのように考え始めると、善意で困難な事態に敢えて臨む、という人々は、世の中には大勢いますから、そういう事態の中で、過失に基づき人の死傷を招いてしまった場合、広く任意的な刑の免除ということを可能にしないと不公平ではないか、ということにもなりそうです。