裁判官による司法研究の結果を収録したものですが、既に、報道でもこれについて紹介したものがあった記憶です。私自身、「大型」とまで言えるかどうかはわかりませんが、公判前整理手続を経て審理中の否認事件を抱えているので、興味を感じ、買って少し読んでみました。通読したいところですが、かなり内容が濃く、今後、必要に応じて少しずつ読みたいと思っています。
ここに書いてある内容のすべてが正しいとは思いませんが、日本の裁判所の中で主流を歩む裁判実務家の意見を取りまとめたものと言っても過言ではなく、今後、この種の事件を担当する弁護士としても、持っておいて適宜参照すべきではないかと思います。
追記:
コメント欄でのご指摘について、若干、コメントすると、まず、当該事件において、この間接事実からこの要証事実を推認して、ということが、絵に描いたように明確にできるか、ということが、公判前整理手続で問題になるような気がします。そこは、まず当事者が主張、反論し、裁判官が必要性を検討して証拠(証人尋問も含め)の採否を決めることにはなるはずですが、そこで出来上がって行く、一種のスキーム、枠組みというものは、あくまで「プロ」の観点からのものであり、筋書き通りに公判が進むかどうかはかなり流動的、不確定でしょう。「裁判員」という、予想しがたい、計算できない要素がそこに介在するわけですから、言い方は良くないですが、以前から本ブログでも言っているように、刑事裁判が、一種のギャンブル化して行く、ということは、やはり起きてくるのではないかと思います。
結局、「最初から枠組みの決まっているぬり絵的な」公判になってしまうという危険性を持ちつつも、何が起き何が出てくるかわからない「びっくり箱」のようなもにになる可能性(それが良いことなのかづかはともかく)も、常にある、ということは言えるように思います。