共犯無罪で構図のほころび繕えず 後藤組組長無罪

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080307/crm0803071221014-n1.htm

無罪が予想されていましたが、やはり無罪でしたね。

検察側は論告で、構図を描き直した。元社長を、後藤被告らにだまされてビルを購入した「被害者」と位置づけた。
その立証の柱としたのが、公判の終盤で証人請求した元社長の知人だった。知人は「元社長は、後藤被告らに勧められて購入したビルに本来の所有者がいたことを知り、だまされたとして後藤被告らの刑事告訴を考えていた」と証言した。
そして、元社長からの告訴を回避するため、後藤被告らは自分たちでビルを購入し、元社長に購入費を支払う形で損害を補(ほ)填(てん)しようとした−というのが、検察側の新たな構図だった。
しかし、この新たな構図に、弁護側は最終弁論で反論。「後藤被告は、告訴話が出る以前から、問題のビルの購入費を用意していた。検察側の主張は破(は)綻(たん)している」と批判、後藤被告の無罪を主張していた。

共犯として起訴された「元社長」を、無罪になってしまったからといって途中から「被害者」に仕立て上げているようでは、自ら墓穴を掘っているようなもので、とても有罪には持ち込めないでしょう。裁判所は、被告人や弁護人には冷たい一方、検察庁には親切で、検察庁の多少のミスは救済してくれることもありますが、ストーリー自体が全面的に間違っていました、ということになると、間違っていたストーリー前提に様々な調書等も作成されているわけですから、さすがに救済しきれないと思います。
警察の暴力団捜査を担当する部署(昔の捜査4課)が、時々、この種の知能犯を摘発しようとする場合がありますが、ストーリーの組み立て、調書の取り方など、でたらめな場合が多い上に、口ばかり達者で捜査上の真の問題点は気づいていても隠している場合も多いので、強制捜査前に相談を受ける側の検事は、相当注意してかからないと、この事件のような無残なことになってしまいます。