元特捜検事の田中森一さんが語る〜「調書はいかにして作成されるか」

http://www.news.janjan.jp/living/0801/0801289764/1.php

今や、時代の寵児化している田中氏ですが、元検事らしい、リアルな体験談が語られていて、一般の人々にとっては参考になるのではないかと思います。

調書をつくったら被疑者に読んできかせ、署名をさせるそうですが、裁判所で違うことを言う場合があるので、裁判所で言っていることは嘘でこっちが信用できるようにつくっていくためにわざと訂正の申立をさせる場合があるそうです。

たとえば、名前の漢字をわざと間違えて書き、そこを訂正させてそれ以外のことは間違いがないと署名させれば、肝心のところが違うと裁判で言っても、検事が「でもあなた、読んで聞かせてもらったでしょ。名前の違いを訂正したでしょ。そんな重要なことなんで申立しないのか、あなた、嘘ついたらいかんよ」と理詰めでくると反論できず、裁判官は検事の言うことを信用するのだそうです。

この手法は確かにありますね。よく、公判で、「早口で読み聞かせられてよくわからないまま署名した」とか、「訂正申し立てができる状況にはなかった」といった主張が、被告人、弁護人から出ますが、何気ない点で、訂正申し立てがなされていると、検察官としては、「よくわからないどころか、注意深く内容を確認しているからこそ、こういった細かい点で訂正申し立てができた」「実際に、訂正申し立てを行っていて、やればできる状況であった」と主張しやすくなります。
そもそも、訂正申し立てで、検察官にとって必ず押さえておくべき点は、訂正した後に、「それ以外は間違いなく訂正すべき点はありません」という一言で、これがあることで、内容の確認を十分行った、という「外形」が、より強くかもしだされる効果が出てきます。
この種のテクニック、というものはいろいろあって、記事の中で、「相手はプロ、普通の人は太刀打ちできない」とあるのは、確かに、その通りであるというしかないでしょう。
取調べの可視化の必要性、ということは、こういったところからも求められていると言えるように思います。