クローズアップ刑法各論

クローズアップ 刑法各論

クローズアップ 刑法各論

この種の本は、おもしろそうだ、と思いつつも、日々の実務の中で、なかなかじっくりと読めないのが悩みです。
とりあえず、目次を見ていて、これは特におもしろそうだな、と思ったのが、「第8講 対向的取引行為と背任罪の共同正犯」で、少し読んでみました。取り上げられている最高裁判例の中で、旧住専住宅金融専門会社)関係の事件がありましたが、その捜査には、一時、応援検事として駆り出されて末端で関わっていた時期があり、私が、この問題に興味を持つようになったのも、その頃からだったと思います。
不正融資のような案件で、貸し手が背任罪に問われても、借り手が常に必ず共犯になる、というものでもなく、どこで線を引き共犯性を見て行くか、ということは、実務上、少なからず問題になります。住専捜査の後、なぜか私は背任事件に縁があり、破綻した金融機関に関するものと学校法人に関するもので主任検事になり、多量の記録と格闘し事件をまとめるのに苦労しましたが、その際も、上記の問題が生じたことがあり、資料を読んだり考えたりしたものでした。
事件を経験し、それなりに勉強もして、背任事件等の経済事件はなかなかおもしろいな、と思っていましたが、検察庁ドロップアウトしてしまい、もう経済事件に関わることもないだろう、と思い、やや寂しさを感じつつ弁護士になりました。その後、徐々に、そういった事件について相談を受けたり受任する、という機会が増えてきて、勉強、経験したことが無駄にはならず、それなりに役立っている面があります。
そういった経験から、まずは、第8講から読んでみたいという気がしました。